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小さいおうちの秘密-ワタシの懺悔録

読後ここまで様々な感情が心にうずまいた本は、これまであまりない。

すきなテーマだった。昭和の初めの東京の、ちょっと裕福な家庭。戦争がすぐそばまでせまってはいたけれど、人々はわりとのんきに暮らしていて、物質的にもまだまだ豊かで、西洋文化もすでに庶民の生活になじんでいる。歴史の教科書には載っていない、ワタシが今まで知らなかった、あの時代の生活。
都心から少し離れた高台にある、モダンな赤い屋根の西洋風の小さなお家。若く美しい時子奥様と女中のタキ。そんな普通の人たちの、こころの中に隠された秘密。


以下、小説「小さいおうち/中島京子著」についての感想ですが(あらすじなどの説明ナシ、思いっきりネタバレあり)、ワタシの同性愛者としての視点での文章となりますので、気分を害される方もいるかもしれません。該当すると感じる方は読むのをお控えください。




読み終えて様々な感情が押し寄せる中で、ワタシがいちばん強く感じた思いは、「タキちゃんがうらやましい」ということでした。
時子奥様とは主人と女中という(世間的には)主従関係ではあったけれど、十年を越える長い時間を共に過ごした二人の間には、確かに友情や愛情があったはずです。


晩年になって「思い出すのは後悔ばっかりなの」と涙を流すほど、恐らく死ぬまでタキちゃん自身を苦しめ続けた、あの日の彼女の選択。それがタキちゃんが目指した「賢い女中」としてだけの判断だったのなら、彼女はきっと何十年もの間自分を責め続けたりはしなかったでしょう。
あの時タキちゃんは心のどこかでひっそりと、こうも思っていたはずです。「おいていかないでください」と。理屈なんか無くて、好意を持った相手へ対する、タキちゃんの純粋な思い。そして微かな嫉妬と独占欲。
ただ、それを伝えるには、奥様とタキちゃんの間には、身分や立場の違いや世間の常識など、あまりにも隔たりがありすぎた。それに大人としての理性や判断もあったでしょう。だからタキちゃんはああいう選択でしか、ああいう形でしか奥様に伝えられなかったのだと思います。「私をおいていかないで」と。

その気持ちにあえて名前を付けるなら、それはやはり恋ではないでしょうか。(タキちゃん自身は気づいていなかったかもしれないけれど)

イタクラ・ショージの描いた「小さいおうち」の最後のシーン。そこに描かれた時子とタキ。
板倉は時子に恋をしていたからこそ、タキちゃんがけっして表には出さない時子への思いを敏感に感じ取り、絵に表したのだと思います。「sacred/secured」(聖なるもの/守られたもの)として。


もう二度と会えなくなった人。いつまでも消えない後悔の念。それを考えるとタキちゃんのその後の人生は、あまり幸せだったとは言えないかもしれません。
それでもワタシはうらやましいと思うのです。
決して短くはない十数年という時間。十代から二十代にかけての感性が豊かでみずみずしい時期に、タキちゃんが奥様から受けた影響はとてつもなく大きなものだったでしょう。おそらく世界のすべてといっていいくらい。主人と女中という関係の中で、むき出しの気持ちは決してお互い口には出さなかったかもしれないけれど、あの描写を見る限り、とても幸せな時間だったと思うのです。そこには確かに愛があった。愛にはきっといろんな形があって、必要なのはその関係に名前をつける事ではなく、ただそこにある愛を素直に感じること。(その後どうするかはまた別として)そうすることができるのなら、人はもっとしあわせになれるのではないかとも思います。って、なに書いてんだかわかんなくなってきたわ。


その後のタキちゃんがもし不幸だったとしたら、それは自分自身のこころの声を、自分の本当の気持ちをどこかで否定してしまっていたからだと思います。奥様へ対する形容しがたい気持ちも、戦争から平和な家庭を守れなかった自分の無力さも、裏切ってしまったという後悔の念も、醜い嫉妬心も、それをも含めて全部が自分なのだし、切り離すことはできないものなのだから。
彼女自身、無意識に自分の過去を清算しようと思って、あの文章を書き始めたのでしょうが、「あの選択」の場面を描き始める前に挟まれたモノローグ。ちいさなためらい。「甥の健史や編集者も読むことになる」というのは建前、言い訳であって、そうしてまでも向き合うことができなかった、それがタキちゃんの悲しさでしょう。


そして・・・これに続く文章をどうしても書けない自分がいます。
わかってはいましたが、(たとえそれが小説の中の人物でも)誰かの事を深く考え文章に書くというのは、自分自身の気持ちを確かめ、表にさらすという行為です。タキちゃんの気持ちを自分に重ねて、そしてなるべく客観視しながらここまで書いてきたつもりですが、これってすなわち自分自身の事でしょう。こんな恥ずかしい文章でこれだけ自分の恥部をさらしてんだから、もう何書いても同じよ!と思いつつも、どうしても書けない事が、認められない事がある自分がいます。
だったらなんでこんな文章書いてんのさ!とも思いますが、この本を読んで、何かを書かずにはいられなかったのです。
なんだかワタシの懺悔録となってしまいました。



追記
機会があって映画のほうも観てみました。
小説の空気を上手く映像化していたと思います。松さんが演じる時子奥様の一挙一動がかわいらしくほほえましくって、彼女が何かしゃべるたびにクスリと笑ってしまった。
ラストの海辺のシーンで、老人となった恭一ぼっちゃんがタキちゃんにむけて言った言葉を聞いたとき、わけもわからずただただ涙があふれて止まりませんでした。

ワタシも誰かに何かを赦されたいのだろうか。
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by nukochaenn | 2014-02-13 03:15 | つぶやき | Comments(2)
Commented by 真紅 at 2014-02-14 21:20 x
猫茶園さん、こんばんは。
今日は大阪も雪でした。関東もまた本降りのようですね、停電などなければいいのですが。。

拙記事にコメント&TBありがとうございました。私からもTBさせて下さいね。

私は異性愛者(だと思うのです)が、この小説を読んで何とも言えない気持ちになりました。
タキちゃんが抱え続けた思い、深い深い悲しみの中には、奥様への「行き場のない想い」があるのですよね。
私は(自分でブログやって映画や本の感想書き散らしながら言うのもナンですが)、
そういう想いをうまく言葉にすることよりも、自分の中に抱え続け、考え続けることのほうがずっと貴いと思います。
だから、猫茶園さんにもご自分の「想い」を大切にしていただきたいな、と思います。

ところで、来月公開予定の 『LEGO(R)ムービー』、楽しみですね! わくわく
Commented by nukochaenn at 2014-02-14 22:20
真紅さん>
コメント&TBありがとうございます。読むことができて本当に良かったと心から思える本でした。素晴らしい本をご紹介いただきありがとうございます。いただいたコメントもとてもありがたく読ませていただきました。
この本を読んで思ったことのひとつに、人との縁というのは、たとえほんのひと時、通りすがりであっても、出会えたことに感謝し、その時を大切にしなければならないんだなという事です。
今回はひとつの事についてしか書けませんでしたが(しかも半分混乱しながら夜中に書いたせいか、めちゃくちゃな内容ですが)、たくさんの大切な事がちりばめられた本だと思います。文章力・構成も見事!
それにしても時子さんのファムファタルっぷりときたら・・・罪ですね~。

そちらも今日は雪なんですね。東京もふたたびの大雪で、なんだか街の音も静かです。
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